奥の細道吟行

6項

平成十一年八月二一日

友沼河岸(乙女河岸)間々田

 田村草一面覆ふ乙女河岸
 河岸の天すいすいと舞ふ鷺の群
 足とられたる乙女河岸??飛ぶ

小山博物館  間々田

 立鍬の手元黒ずみ秋暑し
 青錆の光背菩薩涼しかり

泉龍寺 間々田

 曼殊沙華玉石に塵無かりけり
 千屈菜の赤紫の石に添ふ
 鐘楼の朱柱夕べ秋日燃ゆ
 蝉時雨錆噴く剣の不動尊
 庭石に百日草の影一輪
 大切株赤き茸を育めり

間々田八幡宮 間々田

 爽涼や頼朝手植の松に穿つ
 青蛙松苗の葉に憩ひ居り
 噴水を芯とし緋鯉回遊す
 下闇の土の香走る芭蕉句碑
 夫婦杉注連の高さへ苔結ぶ

飯塚一里塚 小山

 一里榎色なき風に揺れ
 筑波嶺や薄墨色の秋の暮