奥の細道吟行

51項

平成十八年六月十七日

永平寺        福井
参道に人人人の薄暑かな
蟇蛙地を動かせる永平寺
涼風の廊下一麈無かりけり
迴廊の磨き込まれし涼さよ
修行者の迴廊板打つ炎暑かな
頬白く剥落四天王薄暑
一山の夏木立守る永平寺
万緑や青鐘吊鐘忘らるる
白山水の清水の静寂身を包む
絵天井の花鳥涼風ほしいまま
大香炉の香煙纏ふ薄暑かな
黒光りする大数珠の薄暑かな
すいすいと背鰭水切る錦鯉
 涼風を総身に受け合掌す
渓流に河鹿金鈴振りにけり
 老杉のあまた涼しく直立す