福井 敦賀
天竜寺 福井
炎昼の石仏唇の動くかに
涼風や苔這ひ登る芭蕉塚
鳳蝶花に止まりて翅拡げ
万霊碑に白さ尽せる除虫菊
炎帝に座布整然と並べらる
観音の池透明にやご歩く
岩清水合掌観音足濡らす
法燈の大きく揺れて堂涼し
永平寺 福井
参道に人人人の薄暑かな
蟇蛙地を動かせる永平寺
涼風の廊下一麈無かりけり
迴廊の磨き込まれし涼さよ
修行者の迴廊板打つ炎暑かな
頬白く剥落四天王薄暑
一山の夏木立守る永平寺
万緑や青鐘吊鐘忘らるる
白山水の清水の静寂身を包む
絵天井の花鳥涼風ほしいまま
大香炉の香煙纏ふ薄暑かな
黒光りする大数珠の薄暑かな
すいすいと背鰭水切る錦鯉
涼風を総身に受け合掌す
渓流に河鹿金鈴振りにけり
老杉のあまた涼しく直立す