奥の細道吟行

48項

平成十七年九月十八日

多田神社    小松

 芭蕉像白し締りし新松子
 髪染める実盛の像冷ましや
 薙刀の秋光曇りなき刃先
 参拝者に太鼓打てる秋祭
 宝物殿実盛甲冷まじや

 大鎧の袖の暦日爽やに

建聖寺         小松
 木彫なる翁の像の掌にさやか

日吉神社           
 秋うらら鳥居の朱色空写す
 神猿を祀る日吉社秋の声
 参拝の鈴の音を振り爽やかに

 木の瘤に猿の腰掛けと生え

免橋神社        小松
 秋麗随身像の朱色映ゆ

那谷寺         小松
 鐘楼に聴く秋蝉の声幽か
 秋雲の白き岩山棚引きて
 読経の岩屋本殿秋涼し
 秋麗足音弾む楓月橋
 三重の塔白々と秋の風
 秋夕べ仏陀の白毫鮮明に
 水の面に正さる秋の山
 初紅葉芭蕉歩きし道歩む