奥の細道吟行

41項

良寛記念舘  出雲崎
菊一輪活けて耐雪庵閑か
秋涼し庵の棚に良寛像
一陣の潮風抜けし白木槿
乱れ萩紅尽くす良寛記念館
展望台に眼を洗ひたる初紅葉
涼新た優しき顔の良寛像
佐渡島に棚引く秋の雲透けり
佐渡幽か紺一色の秋日和
赤とんぼ童地蔵に日の当る
海はるか色鳥の声風に乗る

良寛堂   出雲崎
風の中力を秘めし相撲草
玉簾の白さとどめし九月かな
良寛像の肩より高き秋の海
潮風に青さ磨かる新松子
一尺の石仏拝む秋思かな

芭蕉園   出雲崎
秋天の海に芭蕉の足音聴く
茨の実日と照り返し真赤なる
芭蕉像の杖借る蜘蛛の囲を見たる
秋天の奥へ奥へと鳶登る

妙福寺   出雲崎
彫の龍長押し色無き風行かす

光照寺   出雲崎
僧の留守菊の香抱く菩薩像
裏山の天へ広がる女郎花
石垣の道明るくす鳳仙花