奥の細道吟行

4項

 

平成十一年七月一七日

香取神社 越谷大沢

 龍の彫り芯まで日輪炎ゆるなり
 神鈴を三振りし涼し音かぶる

丹福寺 春日部

 紫陽花の明るさに建つ供養塔
 炎帝の鏡としたる金屏風
 六人の僧待つ木魚堂涼し

小淵観音院 春日部

 玉を解く芭蕉に朽ちし仁王門
 観音像拝む一瞬風薫る

 梅雨晴間銀杏大樹の水を噴く

永福寺 杉戸

 閻魔堂の扉灼けたり永福寺

宝聖寺 幸手

 背の高さなる古代蓮明日開く
 梅雨葺を噴く幹しかと添木かな
 大日如来残照の顔涼しかり