奥の細道吟行

35項

酒田港緑地展望台 酒田

 秋うらら飛鳥水平線肩に
 秋の海凪ぎて心を癒さるる

鐙屋 酒田
 黄金の家紋の袱紗爽かに
 秋光を盛り余す漆塗りの腕
 二つ三つ空へ声上ぐ椿の実
 覗きたる古井戸に聴く秋の声

日和山公園 酒田
 蔦紅葉芭蕉の句碑に紅尽くす
 海原に陽のさざ波や海猫帰る
 芭蕉句碑倚れば昂る虫の声
 声消して秋の蚊襲ふ随身門

夕日の象潟 象潟
 残照の鵜の黒光る秋の海
 飛鳥の漆黒となる秋の暮
 秋落?茜に海の沸騰す
 茜雲二筋秋の日をよぎる
 荒海暮れゆく浜に秋の声