正善院黄金堂 羽黒山
山門に吊らる草鞋の薄暑かな
仁王尊向き合ふ足に暑を兆す
闇涼し堂の如来の箔きらり
荒梅雨の燻し銀屋根明るかり
梅雨堂の観音仄と顔もたげ
注連網をまはす巨石や苔の花
賽銭の音良く響き梅雨寒し
滝不動彫鮮明にびしょ濡れて
青梅雨や?怒の閻魔像に逢ふ
羽黒山神社 羽黒山
滝しぶき石橋常に湿り居り
松蝉の遠き峰より声徹る
山藤の大樹の天辺紫に
苔の花埋む大樹に掌を濡らす
雨粒の呑みつ呑まれしまむし草
五重の塔要に巨杉涼しかり
梅雨寒や羽黒神社に額衝きぬ
青梅雨に染らす五重の塔建てり
杉巨木参道夏の霧濃くす
螺貝に信徒等並ぶ涼しさよ
天邪鬼青梅雨に目玉ぎょろりとす
毘沙門の金色の瞳の凄まじき
雪渓の月山を我が力とす