奥の細道吟行

31項

芭蕉ライン 古口 
  板蕎麦の杉の香強き秋の昼

冷やかや音たて船首川面切る
舟歌の秋気孕みし最上峡
そぞろ寒川面の翡翠色透けり
花芒中州一面明るくす
秋澄みて神大杉の天を突
く 鳶一輪二輪最上の秋涼し
秋日より石仏の顔真平ら
石仏の額離れぬ赤蜻蛉
秋の川かたまる雑魚に闘志見ゆ
廃村や色無き風の最上川
新涼や早瀬白波日を返す
最上峡天に切り立ち初紅葉
ぐんぐんと里雲迫る赤のまんま
新涼や石に坐れば波の音
秋驟雨バスに乗り我躱しけり