奥の細道吟行

3項


平成十一年七月七日

札場河岸公園  草加

 尋ね来し甚佐衛門堰金魚住む
 夏川に大鯉ばさっと水輪生む
 旅涼し檜香の衝く五角堂
 夏萩のはびこみて居し石畳
 川杭に羽撃つき翔ちし川鵜かな
 万緑や鳥声百代橋包む
 花菖蒲紫尽くす綾瀬川
 稚魚群がるきらり涼しき矢となり

香取神社 越谷

 白きまで御手洗の石灼けてをり
 鳳凰の額据え鳥居涼しかり

久伊豆神社 越谷

 参道の紫陽花の花色鮮やかに
 青苔の老松亀甲掌に固し
 梅雨茸の白き粉を噴き晴れにけり
 梅雨晴間注連縄の幣風に鳴る 参道行けば蝉声高らかに
 幹裂け
て蟻塚となるが松巨木
 川蜻蛉番を許す神の池
 神殿に迫り睡蓮真白なる
 夏の日や祝詞奏上朗朗と
 狛犬の足止め麻の涼しかり