中尊寺 平泉
秋の蝉悲しきまでに一途なり
月見坂森巌秋の人となる
秋の声聴ゆる朝の石鳥居
萩の花一枝紅噴く月見坂
黒揚羽光り参道案内せる
秋うらら日差し円なす杉並木
男郎花老杉の根を要とす
野葡萄の碧玉透ける山の蔭
八幡堂騎馬掛軸の秋思かな
動かねば足にまつはる秋藪蚊
毒茸のかたまって地を暗くせり
新涼や風を鳴らせる御神木
弁慶像の金小札冑や秋暑し
秋の日や彩色笈の紅椿
秋霞北上川に鳶の笛
初風の肩をたたきて通りけり
眼の高さ東物見や蜻蛉飛ぶ
宝珠持つ秋思顔なき地蔵様
昨夜の雨冷ゆ屋根赤き地蔵堂
秋澄むや桧香強き薬師堂
爽やかに鐘楼鐘木紐揺れて