奥の細道吟行

21項

平成十二年十月二十一日

壷碑 
   翁句碑読む時秋の蚊の襲ふ 
   壷碑呼ばはる四方の昼の虫
  壷碑西の文字秋風を真の向に
   壷碑千歳の風の冷まじや
   壷碑歳月ちりてそぞろ寒 
   末の松山 色変えぬ松亀甲の肌荒し 
   黒松へ身を倚せゆけば秋深し 
   新松子老松確とこぼさざる 
   野分してはや街騒の町灯る

野田の玉川   
   茜空芯まで青き新松子 
   眼の高き風を領ちぬ新松子
  実紫絢爛沖の井写しけり 
   沖の石白苔登り爽気満つ