奥の細道吟行

13項

平成十二年六月十九日

須賀川 安積山行

鏡沼(影沼)
 白あやめ沼に一輪慎ましき
 影沼の大振り毛虫幹埋む
 山法師抜き出し空の真青なる
 湿地帯色鮮やかに蛇苺
 野萱草朝日に映えて黄の緊まる
 閃閃と水音響く蒲蒲園
 揚羽蝶黄の色移す樹々の中


可伸庵跡
 木洩れ日の涼しき句碑に触れにけり
 山風に揺らぐ紫陽花見つめ居り
 花栗の匂ひ漂よふ庵跡
 栗の花黄金の光雲となる


長松院
 庭一面黒く光りぬ桜の実
 涼誘ふ新樹の声を聴きにけり
 老鶯の声の大杉天を衝く
 鐘楼に登り総身涼しかり