奥の細道吟行

12項

平成十二年五月二十日

南湖
 夏雨に濡れ来て皿の団子食ぶ
 霧雨の南湖の島に躑躑燃ゆ
 ??の眼を攻める関の湖
 雲間より湖翔け燕反転す
 宗祇戻し
 五月雨や宗祇戻しの地蔵尊


須賀川牡丹園 須賀川
 黄金の花粉雰せる白牡丹
 高々と香をふりまきし牡丹園
 一刻を香に溺れたる牡丹園


乙字の滝
 滝音のくぐもる白さ水芭蕉
 大滝の響き楓の揺れ止まず
 長寿水受け純白の水芭蕉
 木下闇土の香放つ太子像
 轟轟と高鳴る乙字滝に佇つ
 滝音の籠りし闇の不動堂
 大滝に一瞬心呑まれたり