奥の細道吟行

11項

平成十二年五月二十日

白河関

十手水舎の手元の幽き青葉雨
白河の関に鳥鳴く夏の雨
注連縄の青葉の雨や雫して
白河の関の碑山吹花零す
暗きまで雨足籠もり蝮草
白河の関寂として躑躅咲く
神鈴の高鳴る五月雨深し
宝鐸花俯き雨に白きこと
土塁守る宝鐸花に風白し
老杉の巨枝の生気満つ新樹
藤の花神杉の鉾突き出せり
山藤の落花を踏める土塁跡
雨に濡れ艶を増したる花菜畑
本降りの静かさに燃ゆ蓮華草
白河の関の蕗の葉雨に鳴る