奥の細道吟行

34項

湯殿山
  

 万緑や総身に浴び佇ち尽す
 水澄むや御手洗の銭白光す
 大師像の胸元出づる黒揚羽
 災天や白熱纏ふ大師像
 十一の鳥居潜りぬ木下闇
 覗き見る灼くる御堂の髑髏
 爽やかに二拍手響き神域に
 蟻の列信徒の杖に乱されし
 熱湯を噴く厳素足艶めけり
 夏草や結界続く神の山
 足元の巨岩に蛇の横たはる
 蝋燭の灯る岩壁苔の花

月山     

 月山道迷ひ迷ひし花野かな
 月山のぶな林過ぎて百合の園
 山百合の大輪仄と天に透ける
 夏茜月山の空埋めけり
 月山の紅萩人を若くせり
 月山の懐深し時鳥
 緑陰を深々湖面写しけり
 花藻吸ひチュチュと幼魚光りけり
 月山の道花清し山法師
 湿原の隠り沼写すお花畑
 木道の声がはずみぬ靫草

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