奥の細道吟行

30項

立石寺  平成十四年六月四日
青嵐芭蕉の句碑の澄みにけり
老鶯に顔を向けたる句碑の前
みちのくの人に賜わるさくらんぼ
本坊堂桁の鬼面の薄暑かな
香焚きて部屋涼しくす舞楽面
雨蛙池より低く声上げし
境界へ日を傾けし鉄仙の花
マーガレット一面の日をはじきけり
法水を恋ひ影濡らす黒揚羽
風車地蔵が廻す立石寺
姥堂の屋根を掠めし黒揚羽
親子行く山寺の磴風薫る
姥堂の老杉闇と濃くしたり
磴と突く杖音奪ふ青嵐
巨木累々生気みなぎる夏の天
屏風岩垂直に立つ涼しさよ
蝉塚に佇ちて覚ゆる青葉冷え
夏草の石に坐りて水音聴く
若楓大日輪に透けにけり
若楓二本紅と兆しけり
子に父が摘む群生の著莪の花
仁王尊棲むしろがねの蜘蛛の糸
紫陽花の赤紫や日に濡るる
夏の日をはじく朱塗りの納経堂
蒼天を一望とせる茂みかな
涼風に實ぎて聴く山の音
岩肌にこだま老鶯鳴き止まず
神木もと涼風の床風坐す
涼風を受け微笑める阿弥陀仏
涼しさや龍の彫られし鉄燈籠

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