奥の細道吟行

15項

平成十二年七月二十二日


福島行
 文知摺観音
 鳥語降る新樹囲みし翁像
 境内に土の香顕照り梅雨晴間
 鐘楼の涼し福島眼下にす
 鐘楼や涼風集む撞木の緒
 夏木立宝殿殿の屋根白し
 空蝉の吹かれてをりぬ甲剛碑
 欝然と青苔つつむ文知摺石
 賽銭の乾きし音や夏の堂
 御開張涼し拝みし大座布団
 杉大樹虎表碑に汗を拭ぐ
 翁句碑楓若葉の圏に在り
 足止め地蔵涼し笑顔のはるかなり
 天井画龍の涼しき観音堂
 観音堂藪蚊一匹耳かすめ
 紫陽花の赤紫や人肌石
 楓若葉の丘径一面苔厚き
 多宝塔の上に群がる夏茜
 水馬池に水輪をひろげけり
 蝉の声沈むばかりの夜泣石
 紫陽花や二歌碑囲ひ彩極む
 川蜻蛉虎女の墓の裏を飛ぶ
 睡蓮の寂と一輪開きけり

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