゛話゛は、一つの技術として商売人なら上手であることに越したことはない。自分の考えを明確に伝え、また、聞けないようでは全てを壊しかねない。
言い換えるならば、日常のお付き合いを大切にし、そこからあらゆる人の声を聞き、お客様の気持ちになって行くということである。情報は目の前にぶら下がっていると思ってはいても、それに中々気付かない。
また、先々代がしたように、連綿と受け継がれて来た、人形師としての゛心゛ その声を聞くことである。
雛人形・五月人形とは、ただ、飾って置く、というのではなく、本当にお子様の身代わりとして、色々と祈願し、男児には夢を大きく育てて欲しい、とまた女児にはお雛さまに心の内をうちあけ、ともに喜んだり、また時には、泣いてみたりと、お雛さまとお子様とがお話が出来、本当に活躍して貰えるように、なって頂きたい、親御様はそれを願う。
当家先々代は壮年期の時代に戦争を経験し、戦後もしばらくの間、節句品は世の中からは受け入れられず、我が家の押し入れに静かに収め、世の中の平和が戻り、必ず純粋にお子様への愛の証として喜びの相で迎えて頂ける日が一日でも早く訪れることを待ち望みながら雛人形・鍾馗(しょうき)・神武天皇に面相の筆を入れた。と聞かされ私は育った。
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